ライフスタイルの変化と家づくり

家作りは一生に何度もできるものではありません。しかしライフスタイルは日々変化していきます。子供の誕生、成長、独立など家族のこと。定年、老後など自分自身の変化のことなど。
せっかく建てる家ですから、長い間不自由なく過ごすことのできる家、ライフスタイルの変化に対応できる家を作りたいものです。
それにはまず自分の今後の生活をイメージすることが大切です。そして今後の生活をその計画に当てはめてみること。
以下のプランは、2世帯住宅でのライフスタイルの変化と住宅の移り変わりをまとめたものです。それぞれの家庭によって、今後起こりうるライフスタイルの変化は様々だと思います。
以下の例を参考に長く住み続けることのできる、自分スタイルの間取りをご検討ください。
モデルプラン
家族構成

1stステージ
ジジ、ババは退職して2年目、元気に趣味を楽しむ生活を送っています。
パパは働き盛りのサラリーマン、ママはジジ、ババと協力して、ゆうき君とはるかちゃんの子育てで、忙しい毎日を送っています。
1階プラン
■定年後
2世帯の生活を始めるころは、ご両親が元気だという想定での完全分離の2世帯住宅です。2人が過ごせるLDKと洗濯物をたたんだり、家事ができるような和室コーナーを作りました。
後々のために、少々大きめですが食事やパソコンなど多目的で使える大きな無垢のテーブルを計画しました。
■子供を預かる
2世帯住宅では子供を預かることがよくあると思います。小さな頃は和室で寝かせたり、小学生になれば預かっている間に勉強する。なんてことも考えられます。大きな多目的なテーブルはなにかと便利ですね。この計画ではスペースの問題で和室は作れませんでしたが、和室があれば寝かせることも、座卓で勉強もできるので便利ですね。
2階プラン
■子供が幼児期
子供が小さい間は、もちろん子供部屋は必要ありません。むしろ子供と一緒に寝たり、遊んだりするスペースが必要です。(西側の和室、寝室)子供は両親の気配がないと不安な気持ちになりますし、また親も、子供に目が届かないと心配です。リビングの隣に子供が寝ていれば、子供が寝た後も安心して自分の時間を楽しめます。
ダイニングの大きなテーブルは食事、パソコン、趣味など何でもできるマルチなテーブルです。
■子供が小学生(低学年)
小学生の頃は、1人部屋で過ごすよりはリビングで勉強することが多いのではないでしょうか?ダイニングのテーブルでお絵かき、勉強など何でもできます。いつから1人で寝かせるかは、家庭によって違いますが、小学校1年生では、まだ両親と一緒に寝ることの方が多いのではないでしょうか。(北側の寝室)
2ndステージ
ゆうき君が小学校5年生、はるかちゃんが小学校2年生になりました。
ジジ、ババに孫の面倒を見てもらって、ママは自宅でビアノの先生を再開しました。ジジ、ババは孫の成長を見ながらますます元気になった様子です。
1階プラン
■寝室のスタイル
寝室のスタイルには布団とベッドと2種類ありますが、年配の方で特に和室で生活されてきた方は、和室の寝室を望む方が多いようです。しかし足腰が弱ってくると、立ち上がりが少ないベッドの方が楽な場合が多いのも事実です。このプランでは、当初和室を希望した寝室を、立ち上がり大変になった想定で、和室での布団式から洋室でのベッド式へ変えました。将来寝たきりになることも考えるのであれば、和室を南側に作れると、将来和室から寝室へ変えることも考えられますね。
■補足1
2世帯住宅を建てる場合、親世帯にとっては老後の住まいになるケースが多いと思います。それだけに、家の中で自分の時間が長くなるわけですから、お互いが自由なことを、相手のことを気にせずにできるように、適度な距離が保てるような計画とすることが大切です。静かに本を読みたいのに、隣でテレビの音がうるさかったら嫌ですよね。この計画では、和室、多目的なテーブル、寝室のデスクなど、状況に合わせて自分の時間を過ごす場所を計画しました。
2階プラン
■子供が小学生(高学年)
子供が小学生高学年~中学生になると、そろそろ子供部屋が必要になります。この段階で間仕切り壁、もしくは家具などで1部屋作ります。(北西の部屋)残った部屋はパソコンデスクや洗濯物をたたむ、アイロンをかけるなどの目的で、畳コーナーを一部残しました。
子供部屋は最小限のスペースにして、基本的に勉強などはダイニングの大きなテーブルでする想定です。
この計画では和室の場所と大きさが、ライフスタイルによって変化していきますので、置き畳を使い、変化に対応する計画です。
3歳程度歳のはなれた2人目の子供がいる想定ですが、まだ子供部屋は必要なく、寝るのも両親と一緒です。(北東側の寝室)
3rdステージ
ジジ、ババは足腰がずいぶん弱くなり、パパとママも心配な様子です。ゆうきくん、はるかちゃんは高校生2年と中学2年になり、毎日、勉強に部活に忙しいようです。パパ、ママは家族のふれあいを減らさないように、なるべく家族みんなで過ごす時間を作っています。
1階プラン

■介護という問題
人は当然歳をとり、体も不自由になっていきます。そのために安全、バリアフリー、使いやすい設備など、いろいろなことを想定して、検討しておくのは当然です。その中で、ライフスタイルと間取りという点を考えてみます。
介護が必要になった時や1人の生活なった時は、1階で家族全員で過ごしたり、食事をしたいものです。そんな時のために、1階でも家族全員が生活できるように、初めから考えておく必要があります。この計画では、広縁をなくすことでリビングを広げ、キッチン背面の壁を一部なくすことで、家族みんなで食事できるようにしました。
1階に和室が計画できれば、和室を利用してもいいと思います。
2階プラン
■子供が小学生(高学年)と中学生
そろそろ子供部屋は2部屋必要となります。同性同士なら、しばらくは2人同じ部屋で使ってもいいのでしょうが、異性の場合は、やはり別々の部屋がほしくなります。この段階で和室コーナーだった部分をなくし、西側に子供部屋を2つ作りました。
広めのリビングだったスペースを、リビングダイニングに変更。和室は前のダイニングスペースに持って来ました。洗濯物をたたんだり、アイロンをかけたりすることを考えると、和室は残しておきたいと考えました。
大きなテーブルは無垢材で作っているので、脚を作り変えて座卓にして、前と同じように多目的に使えるようにしています。
ライフスタイルの変化に対応できうようにするには、部屋数の最も必要なこの段階でのライフスタイルのイメージが大切です。
4thステージ
ゆうき君、はるかちゃんも無事就職し、社会人です。パパは定年までもうひとがんばりです。ママもピアノの生徒がたくさん増えました。みんなが忙しい中で、家族の時間を今でも大切にしています。パパとママはゆうき君、はるかちゃんが結婚して、孫を見せてくれる日を楽しみにしています。
1階プラン

■2世帯住宅のサイクル
2世帯住宅を計画する際は、2階の子世帯が1階で生活する日がくることも考えなくてはなりません。その際に1階で広さ、間取り、使い勝手などの点で、満足ゆく生活ができるかどうかを検討することも大切です。なかなかそこまで先のことは考えにくいとは思いますが、そこまで考えておけば、そこからまた新たな2世帯住宅がスタートできます。
この計画では、子世帯が2階から1階へ生活の場を移した際に、子供部屋を含め、2階との空間的なつながりを確保するために、リビングの上を吹き抜けにしました。新しい生活がスタートするわけです。
当然子世帯にも子供ができ独立し、同様に2世帯住宅となる際には、床を張って1stステージの完全分離の2世帯にもできるわけです。ここまでライフスタイルの変化に対応できれば、計画する側としてもうれしいですね。
2階プラン
■子供が高校生~社会人
このプランでは2世帯住宅の計画のため、子世帯の日常生活の場所が、2階から1階へ移動した場合のプランです。
子供が高校生以上になると、勉強なども含め、自分の部屋で過ごすことも多くなると思います。子供部屋はそのまま2部屋で変更なしです。
ただし1階とのつながりが薄れてしまうので、思い切って吹き抜けを作って1階のリビングと2階の空間をつなげました。2階はスペースが十分なので、知人を呼んだりできるフリースペースとして残しました。大きなテーブルは、座卓の無垢のテーブルを再度足を変更し、多目的に使用します。
■子供が独立
子供が独立し別々に暮らすようになった場合は、子供部屋をまた1部屋にしたり、自分の子供と2世帯住宅として住む場合には、1stステージからの繰り返しですね。そこまで対応できれば計画した方としても大成功です。
